紹介
紹介

比較民俗研究会はアジア諸民族の民俗を中心に研究活動をおこなっている研究会です。
佐野賢治教授を中心とした幹事会メンバーが研究会を運営しています。


 研究会の活動趣旨


柳田國男の民俗学は一国民俗学、新国学といわれるが、柳田はその先に世界中の人々がそれぞれの生活文化レベルで理解しあう世界民俗学を構想していた。IT技術の発達により現代社会では、生活情報が瞬時に、地域を越えて伝播し、また文字記録・非文字による記憶も大容量のメディア媒体により保存が可能になった。世界民俗学の構築も夢はなくなった。

それぞれの民族・国の民俗研究者が自文化を軸足にして連続性の中での比較からはじめる。それらを持ち寄ってそれぞれの異同を知ることが第一の段階となる。見えない自分の背中を外なる視点から見、自己の全体像を知ることに例えられる。

生活の中で育まれ個別性・特殊性が強いと考えられる民俗文化も、ローカル・ナショナル・リージョナル・グローバルな今日的視角で総合的に検討することにより人類に共通する普遍的な知恵のようなものが見い出されてくる。学問で言えば非連続の民族文化の比較から人類文化の普遍性を追求してきた文化人類学と合流することになる。

「世界全体が幸福にならなければ個人の幸福はありえない」、宮沢賢治の言葉のように、個別と普遍の調和的統合を夢見てともに歩みたい。難しい哲学や論理ではなく、世界中の人々が日々何を食べどんなところに住しているのか、そうした生活情報の共有の蓄積と理解が戦争など人類の抱える最大の不幸、戦争の抑止につながると考える。

比較民俗研究会の第1回研究会は1989年12月20日に開催され、1990年3月31日には『比較民俗研究』第1号が刊行された。2010年の12月現在、研究会は107回、会誌は24号を数えるまでになった。まさに、20年余の月日を重ね、ようやく人並み、成人となった。これからは学内にとどまらず、社会に活動の場を求め、寄与していかなければならない。

有志諸氏にはまず、フィールドワークの報告を研究会で披露して欲しい。意見交換を経た後の論考を機関紙に掲載していきたい。生活の臭いのする、問題意識あふれた調査・研究を反映した紙面づくりを心がけたい。又、共通のフィールド経験も重ねたい。それらの生資料を持ち寄り、共通課題をテーマにした集まり、シンポジウムの場も持ちたいと考える。

比較民俗研究会はこのように学問の科学的目的と実践的目的の両方を合わせて、貪欲に現代社会の生活文化のあり方に取り組む有志の集まりです。皆様の積極的な参加をお待ちしています。


            2010年 庚寅年  鰻漫亭(慢々的)主人 佐野賢治 敬白


 民族と国家の関係が改めて問われる事態が世界各地でおきている。文化を同じく
する社会集団が民族であるならば、今後、異民族の生活文化の積極的理解が、国際
化の中でますます必須となっていく。
 とともに、厳密な意味でのバイリンガルが成り立たないように、人は自文化を他
文化との比較の上に、見つめ直す視点も合わせて必要となろう。
 柳田國男は、各国での一国民俗学が成立した上での、比較民俗学を考えたとされ
る。このような民俗形成における多元・多様性への関心のうすさがアイヌ民族、南
島文化の位置づけなどをはじめ、果たして日本民俗学が一国民俗学として成立して
いるのかとの議論がおこる契機ともなっている。
 多民族からなる中国では民族識別などの実際的問題もあり、逆に比較民俗研究を
踏まえての中国民俗学の成立が考えられているのである。とにかく、先輩達の努力
により、日本、中国、韓国の民俗学の学問体制も整った現在、まず、学術資料の交
換から始めようと意図した。
 幸い筑波大学には、各国の研究者、留学生も多く、この意図に賛同したものの間
で研究会がつくられ、月一度の研究会を開くことにした。
 将来は、各国での研究誌の交替発行と研究会の交替開催まで夢見ている。研究会
が学会まで成長することを念じ、その第一歩として小誌を発行した。たまたま筑波
大学での創刊となったが、広く同志を国内のみならず、各国に求める次第である。

           『比較民俗研究』創刊号(1990年3月31日)より


 研究会のあゆみ


1989年の年の暮、12月20日に筑波大学歴史人類学系共同研究室にて比較民俗研究会を設立し、第1回研究会を開催した。以後、研究会代表である佐野教授の神奈川大学への異動を機に神奈川大学へと活動の場を移し、引き続き今日まで定例研究会を開催している。2009年12月6日には100回記念としてシンポジウム「民俗から見た東アジア常民の生き方」を開催した。 →詳細

また、1990年3月31日には会誌『比較民俗研究』創刊号を発行し、以後、年次報告的に会誌を刊行し、2013年現在、28号を数える。 →詳細

 MENU

  •  研究会の活動趣旨
  •  研究会のあゆみ